失業保険受給中のアルバイトは大丈夫なのか?収入を得ることは可能なのか?

 

現在では会社に勤めている従業員全員が「雇用保険」に加入しているため、何らかの事情で会社を辞めた場合、「ハローワークに行けば失業保険がもらえる」ことを知っています。

 

ただ、失業保険は会社で支払われていた給与と同額が支給されるわけではないため(凡そ給与の50〜60%)、中には生活のためにアルバイトを考える人もいます。

 

その場合、失業保険の支給条件に抵触することが考えられます。

 

失業保険の有効期間は1年間

失業保険からの給付の有効期間は退職の翌日から1年間です。

 

従って、その期間内であれば、何回再就職と失業を繰り返しても、所定給付日数分の失業保険を受け取れます。

 

ただし、1年を過ぎると、給付日数が残っていても受給ができません。

 

失業保険には待機期間・受給制限期間があります!

会社を辞めれば、誰でもすぐに失業保険を受給できるわけではなく、「自己都合」で辞めた場合はすぐにはもらえません。

 

7日間の「待機期間」と3ヶ月の「給付制限期間」があるため、約4ヶ月を経ないと失業保険から手当てが出ません。

 

従って、自己都合で辞めた人は4ヶ月間は無収入となり、アルバイトの必要性が高くなります。

 

一方、会社の倒産やリストラ、セクハラなどの「会社都合」による離職の場合は、待機期間経過後の初回の「認定日」からすぐに失業保険を受給できます。

 

なお、認定日とは4週に1回、失業状況の確認と受給手続きを行う日のことです。

 

失業保険中のバイトは必ず申告が必要!

実は、失業保険期間中のアルバイトに関して、厚生労働省ハローワークのホームページには明確な規定が載っていません。

 

ただし、実際にはどのくらいの時間や日数を働いたのか、収入はいくらなのかによって失業保険が不支給になったり、支給額が変わったりします。

 

なお、アルバイトをした場合は、必ず「失業認定申告書」に内容を漏らさず記入しなければなりません。

 

給付制限期間中のアルバイトなら1日4時間未満ならOK?

待機期間中のアルバイトは一切できませんが(待期期間の延長)、給付制限期間中であれば、就職扱いにされない以下の範囲内である限り問題ありません。

  • 1日4時間未満のアルバイト
  • 1日4時間以上だが、週に20時間未満のアルバイト
  • 週に20時間を越えるが、1ヶ月未満のアルバイト

 

週に20時間以上尚且つ31日以上アルバイトをすると再就職手続きが必要

週に20時間以上、且つ31日以上働くとアルバイト先で「雇用保険の被保険者」となることから、就職したと見做されるため、再就職手続きをしなければなりません。

 

なお、その際には「再就職手当」を受給することができますが、給付制限期間開始から1ヶ月以内の再就職の場合は、ハローワーク等の紹介で就職したことが条件です。

 

給付制限期間を1ヶ月過ぎれば、ハローワーク等以外の紹介による就職でも再就職手当を受給できます。

 

失業保険受給中に可能なアルバイトとは?

失業保険受給中のアルバイトについては以下の2つのパターンに分けられます。

 

(1)1日4時間未満のアルバイ

4時間未満のアルバイトであれば内職と見做され、失業保険の給付が即不可になるわけではありません。

 

ただし、アルバイトの収入金額によって、失業保険の金額が変わります。

 

失業保険が支給された場合はその分の給付日数が減り、不支給の場合は不支給になった日数分(アルバイトをした日数分)だけ「繰り延べ」されます。

 

例えば、給付日数90日の人が7日間アルバイトをして不支給になると、90日目の後に7日間の給付日数が付け加えられます。

 

アルバイト1日分の収入額が以下の場合に、失業保険の支給額が3通りに分かれます。

 

なお、「賃金日額」とは、退職前半年間の給与の合計を180で割った金額です。

 

交通費や残業手当などの諸手当は給与に含みますが、ボーナスは入りません。「基本手当日額」とは、賃金日額に一定の割合を掛けて算出され、その金額が支給額のベースになります。

 

全額支給:基本手当日額が全額支給されます

アルバイト収入額−控除額1,286円+基本手当日額≦賃金日額の80%

 

減額支給:基本手当日額から賃金日額の80%を超えた金額分が減額されます

アルバイト収入額−控除額1,286円+基本手当日額>賃金日額の80%

 

不支給:基本手当日額は全額支給されず、繰り延べされます

アルバイト収入額−控除額1,286円≧賃金日額の80%

 

例えば、平均月収30万円(賃金日額1万円)のAさん(34歳、雇用保険加入期間12年)が会社都合で退職すると、基本手当日額は5,687円です。

 

そのAさんがアルバイトをして、なおかつ失業保険を全額受給するには、1日のアルバイト代を以下の金額に抑えなければなりません。

 

(賃金日額1万円×80%)+控除額1,286円−基本手当日額5,687円=3,599円

 

仮に、時給が1,000円だった場合、1日3時間のアルバイトなら(3,000円)、アルバイト代を手に入れた上に、失業保険も満額もらえます。

 

また、1日3時間であれば、週に20時間未満という条件にも抵触しません。

 

(2)1日4時間以上のアルバイト

4時間以上のアルバイトをすると、失業保険が支給されません。

 

ただし、失業保険が無くなるわけではなく、後ろへ繰り延べされるだけです。

 

また、就業手当の支給条件に該当する場合は就業手当を申請できますが、就業手当を受給した場合は所定給付日数が減ります。

 

失業保険の繰り延べか、就業手当の受給か、どちらかを選択することになります。

 

就業手当の支給条件
  • 契約期間が7日間以上の雇用契約
  • 週の労働時間が20時間以上かつ、週の労働日が4日以上
  • 雇用保険の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上、且つ45日以上

 

失業保険の代わりに支給される就業手当は、「基本手当日額の30%」でしかなく、さらに上限額が設定されています(60歳未満:1日1,821円、60歳以上65歳未満:1日1,474円)。

 

就業手当は1,821円のため、失業保険がもらえないのはもったいない面もありますが、少額でも早くもらった方が良いのか、遅くてもいいからまとまったお金の方が良いのかは、状況次第です。

 

失業保険を受給中のアルバイトは「損得」が複雑なので、事前に確認しておくことが重要です。

 

なお、受給期間中にアルバイトをしても繰り延べされるだけなので、失業保険からの給付が無くなるわけではありません。

 

ただし、肝心なのは再就職であり、アルバイトのために再就職活動の時間に制約が生じるのは本末転倒です。

 

ちなみに、失業中に嘘をついてカードローンかお金を借りようとする人がたまにいます。

 

実は退職しているのに、それを隠して申込してきます。この場合、会社への在籍確認で通常は退職していることが判明しますが、仮に在籍確認を通り抜けた場合、カードローン業者は退職していることを気付かずに貸付してしまう事があります。

 

しかし、その後にもし借入するときから退職していたのが判明した場合、虚偽申告で一括請求をされる可能性が高く、悪質な場合は詐欺借入と見なされます。

 

無職でお金を借りたい人は多くいますが、嘘の申告で借りるのはやめておいた方が無難です。